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Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 190.406 Zeichen · 381 Bildschirme

Aozora Bunko

信長の眼も、それを見た。

さすがに、悵然と、悲壮ないろを眉にたたえて、

「鷲津、丸根も今、陥ちたとみゆる……」

大息したが、直ぐ、

「海沿い道は、渉れまいぞ。今朝は折ふし満潮の時刻。詮なし詮なし。山の手を駈けこえて、丹下の砦まで急ごうず」

と、旗本を顧みて云った。それと共に、彼は馬から降りて、加藤図書を名ざし、

「熱田の町人頭がおろう。これへ呼べ」

と、いった。

辻の人ごみへ向って、呶鳴るのが聞えた。町人頭はありや、町人頭出でよと、兵たちも叫んで廻った。

恐るおそる、二人の町人が、信長の前へすぐ引き出された。信長は、それに向って云った。

「そちども、信長を見るは、毎度で珍しゅうもあるまいが、今日は、駿河公方が鉄漿染めた珍しい首をやがて見せて進ずるぞ。さるほど、一代未聞のこと、信長が領下に生れた冥加ぞ。曠の合戦、高きへ上って見物ないたせ。それもただではおもしろうない、町頭より熱田中へ触れなまわして、五月の菖蒲幟、七夕の門竹、その他、何にてもよい、敵の遠目に旗差物と見ゆるように仕構えて、木々の梢も、丘の上も、紅白その他の布をもって翩翻と空を埋めよ」

「はい」