Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 190.406 Zeichen · 381 Bildschirme
だが藤吉郎は、そんな衆口のよしあしなどはどうでもよい。彼としてはまず第一に中村の母へこの由を報じてやった。自分で飛んで行って云々とつもる話と共に嫁の素姓や人がらなどについてもくわしく告げたかったが、一かどの者となるまでは、母も中村で過そう、そなたも母に心をとられず、お主大事に仕えよといわれているので、
「まだ、まだ」
と、逸る会いたさを抑えて、こんどのことも手紙でばかり消息していた。
母からもしばしば使いが来た。いつの手紙でも使いのはなしでも、その欣びようといってはない容子が会わないでもよく分るのであった。わけて藤吉郎の心をやや慰めたものは、追々と藤吉郎の出仕ぶりが村にも知れ、またこんどは然るべき武家の娘と結婚し、しかもそのお媒人が信長様のお従兄弟にあたる人と聞えたので、村中の者の見る眼が、藤吉郎の母や姉に対してもすっかり変って来たという事実であった。側にいて母に孝養もできない彼には、せめてもの安心であり、またいささか無言のうちに郷里へ示す誇りをも覚えたことであった。
「旦那さま。お髪を上げておきましょう」
ごんぞは、櫛筥を持ち出して、彼のうしろに坐った。