Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 190.406 Zeichen · 381 Bildschirme
(近いうちに、浅野殿の寧子を妻に娶う)
と、人にも語り、人も介して、何かと、具体的に進めてくる。約束の期も迫って来ている。
(――どうも、娘の母が、近頃すこし体がすぐれぬので)
とか。
(――今年は、年まわりが悪いとか、女どもが申しおるので)
とか、みな女どものせいにして、一時のがれをいって来たが、もうその口実も尽き果てて、弱りぬいている次第だが――と、又右衛門は、苦衷をもらして、
「……どうじゃな。其許は、奇才縦横とよく人がいうが、何とか、よい思案はあるまいか」
杯の空をすすって下へ置いた。
酔うにも酔えない顔なのである。
藤吉郎も、ここまでは、独り空想に楽しんでいたが、彼の憂いを聞いてみると、共に憂えずにいられなかった。
(相手がわるい)
と彼は思った。何も、悪人というような意味ではないが、相手が前田犬千代とあっては、話は簡単にすもうとは考えられない。
犬千代は藤吉郎の嫌いな、美男ではあるが、いわゆる美男型の美男ではない。多分に、戦国の粗い土質から育って出た豪毅な気性や、型にはまらない不屈と放縦な面だましいを持っている。
まだ年少十四の時、初めて信長の軍に従いて行って、とにかく、侍首の一つも提げて帰って来たほどな男である。