Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.903 Zeichen · 400 Bildschirme
宗治は、誓紙に一礼した。しかし手にとって開こうともせず、そのまま正使の前に返して、
「寔に、寔に、過分なおことばやら恩賞のお約束やら、何と申してよいか、お礼のことばもない。毛利家より日頃頂戴の禄は正直七千石に足らないものを。ましてや老齢に近いこの田舎侍をば。――いやありがたいことでござる。お志だけはくれぐれも忝う存ずる。忝う存じ奉る」
うんとはいわない。
ただ腰ひくく清水宗治は、そう繰り返しているのみだった。
沈黙がつづく。
そのうちに、何か手持ぶさたを覚えてきたのは、使者側のふたりだった。
宗治としては、それ以上、何を説かれても、
「ごもっとも。ごもっともで」を温和に、辞低く、繰り返しているにすぎない。
彦右衛門の老巧も、官兵衛の才気も、この相手には用をなさないかたちであった。
が、使者としては、その壁をも抜く意気で、なお説く限りは説き、最後の努力としてもう一言、
「この方から申しあげることは、すべてを申しあげ尽してござるが、貴公として、何ぞ、特に御希望とか、条件を附したいとか、お考えがあるなれば、承って、お取次もいたそう、またお力になりたい所存でござるが、御腹蔵ないところ、お聞かせたまわるまいか」