Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.903 Zeichen · 400 Bildschirme
そして彼ら自体のうちから、
「くそッ、二十八町ぐらいな堤築が、あと四日や五日もあるに出来ねえでどうするものか。みんなあ、大洪水のときを思い出してやろうぜ」
「そうだ。出水の時の防ぎをやる気ならこんなものは何でもねえ」
「やろうぜ。根かぎり」
「やろうとも。へたばるものか」
その日の半日だけでも、工事は、その前の五日分にも勝るほど目ざましく捗り出した。
仲間と仲間も、もうむだ口一つきく者はない。たまたま、生爪でも剥がしたのが、まごついてでもいると、
「泣きッ面するな、男らしくもねえ」
と、彼ら自身が立派に励ましあい、また仲間の自治を保っていた。奉行の鞭も、官兵衛の杖も、いまは無用のものでしかない。
かがりは夜を焦し、土けむりは昼を晦くして、二十八町二十間の大堤の工事もいまは余すところわずかとなった。そしてこの陸の築港も完成に近づきつつある一面、なお、高松城附近の七ヵ所の河川では、べつにここにも劣らない難事業がすすめられていた。
それは。
河川の水路を変えて、そのすべてを、やがて大堤のうちへ注ぎ入れる傍系工事だった。
この方面にも、武士、足軽、人夫などあわせると、二万に近い人員がうごかされている。