Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 176.911 Zeichen · 353 Bildschirme
火近うともしたり、「母屋の中柱にそばめる人や我が心懸くる」と、まづ目とめ給へば、こき綾のひとへ襲ねなめり、なにかあらん上に着て、かしらつき細やかに、小さき人の物げ無き姿ぞしたる……
淀みもなく小娘は読みすすんでいた。源氏物語もこの「空蝉」や「箒木」や「夕顔」の帖などは、たれも好くところなので、もう何十遍も読みかえしているらしく、暗誦じているほどだった。
――母屋の几帳のかたびらひきあげて、いとやをら入り給ふとすれど、みな静まれる夜の御衣のけはひ、柔らかなるしもいと著かりけり。女は、さこそ忘れ給ふをうれしきに思ひなせど、怪しく夢のやうなることを、心に離るる折なき頃にて、心解けたる睡だに寝られずなん。昼はながめ夜は寝覚めがちなれば、春ならぬ此目も、いとなく歎かしきに、碁打ちつる君、「今宵はこなた」と今めかしく打語らひて寝にけり。若き人は何心なく、いとよくまどろみたるべし。かかるけはひの、いと香ばしくうち匂ふに、顔もたげたるに、単衣うち掛けたる几帳のすきまに、暗けれど、うち身じろぎ寄る気はひ、いと著し。あさましく覚えて、ともかくも、思ひわかれず、やをら起き出でて、生絹なる単衣一つ着て、すべり出にけり。