Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 176.911 Zeichen · 353 Bildschirme
「ほ、ほ、ほ。ばあや、草葉の蔭なんて、そんな世界は、どこにもあるものじゃありませんよ。だから尼院はつまらない」
「ま、あんなお口を。仏罰がおそろしいとはお思いになりませぬか」
「おそろしいのは、無智で生きていることです。こんな世の中に、無智で漂っているほど恐いことはない。於通は、田舎もいや、田舎人もきらい、なぜといえば、余りな愚鈍を、見ていられないからです。わたしは都へ出て、さむらいどもにまけないような女になる。画の道でも、歌の道でも、そのほかの学問でも、女子でもすぐれた者になってみせる道はいくらもあろうに」
於通のことばに勝ち気が出ていた。武門の息女の血としてはそれのあるのは怪しむにたらない。けれどこの場合には、お沢にいとど悲しくひびいた。乳母の信じている女の道――乳母の願っている女らしき幸福の道――それとは余りちがいすぎる。
小野家の滅亡以来、変りはてたと思うこの姫の今のような口吻を聞くと、お沢はすぐ、於通は不良になったと悲しまれた。この土地ばかりでなくひとたび戦禍に見舞われたあとには、村にも町にもたくさんな家なき子が出来、それが忽ち、野盗の手先や、寺荒しや、火放け鳶や、戦後の死骸剥がしなどになって、残暑の蠅みたいに殖えるばかりだといわれている。