Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 180.256 Zeichen · 361 Bildschirme
小六の胸には、馬謖を斬るの気もちで――甥の成敗を決心していながらもまだ――情と正義とが、割りきれずに、乱れ合っていた。
で、彼は去りがてに、
「国吉」
とまた、小屋の中へ話しかけた。
「……だが、年内には、使える鉄砲が、十挺や二十挺は出来るだろうな」
「左様で――」
と、鍛冶の国吉は、責めを問われたように、職人気質な苦痛を、煤まみれな顔にあらわして、
「ただ一挺でも、これでよいと思う物が出来さえいたせば、後は四十挺でも百挺でも、一つ物をつくるのは、やすいことでございますが……」
「その一挺だな。――難しいのは」
「お手当ばかり戴いていて、心苦しゅう存じますが」
「よけいな気遣いはするな」
「ありがとうぞんじまする」
「来年、さらい年、また、来る年も、来る年も。合戦はやむ間もなかろう。大地の冬草がみな萎み果て、新しい芽に萌え代るまでは。――で、鉄砲も急ぐのだ」
「この上とも懸命に、やってみまする」
「しかし、密かにだぞ」
「心得ております」
「鎚音が少し高過ぎるな。濠の外まで、聞えはせぬか」
「それも、気をつけまする」
「むむ」
小六は、去りかけたが、またふと、鞴のそばに立ててある一挺の鉄砲に目をとめて、