Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 180.256 Zeichen · 361 Bildschirme

Aozora Bunko

(わたしを使って下さい)

と、自分の身を、押売りしてみても、笑われたり、呶鳴られたり、乞食あつかいされて、竹箒で追われたりするだけだった。

わずかな銭は、すぐなくなりかけた。世間の実際は、藪山の叔母がいったとおりであって、日吉の考えは、夢にすぎないものだった。

しかし日吉は、その夢を離さなかった。なぜならば、自分の望んでいるものは、誰に聞かれても、恥かしくない立派なことだと、かたく信じているからである。

草に寝、水に枕しているまも、その望みは忘れない。――世のなかでいちばん不幸者と彼の思っている母を、どうしたら、いちばんの倖者にしてやれるだろうか。

また、嫁にも行けないでいる可哀そうな姉を、どうやって喜ばしてやろうか。

勿論、日吉にも、たくさんな慾望がある。殊に、もう十七歳の若者だ、胃ぶくろは、喰っても喰っても食い足らない気持だし、大きな屋敷を見れば、あんな屋敷に住んでみたいと思い、豪華な武家の身装を見れば、自分の身装が顧みられ、美しい女達を見れば風のなかの香を強く感じる――

とはいえ、どんな慾望を思うよりも先に、母を幸福に――という念願が、常に前提として彼にはあった。