Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 180.256 Zeichen · 361 Bildschirme
今、日吉へ、手招きした薦僧もまた、汚れ腐った着物に、不精髯を生やしている組だった。
「お布施かい。……それとも、お腹が減って、動けないのかい?」
日吉は、小馬鹿にしながら、戻って来たが、苦しい旅の味はよく知っているので、腹が減っているなら飯を、体でも病んでいるなら薬を、貰ってやろうと直ぐ頭の中では思いやっていた。
「……ちがう」
薦僧は、顔を横に振った。
じっと、日吉を見上げて笑う。そして、敷いている薦の席を、半分譲って、
「ま、お坐り」
「いいよ。立っていても。用事は何さ」
「おぬしは、御当家の召使か」
「ちがう」
今度は、日吉が真似して、顔を振った。
「おらは、ここの懸人だ。小六様に飯はいただいているが、まだ奉公人にはなっていない」
「ふむ。……でも何か働いてはいるのだろう。台所か、お表か」
「庭掃除さ」
「庭番か。そうか。それでは小六殿にも、目をかけておられるな」
「どうだか」
「今は、お在でか」
「お留守だよ」
「御不在か。それは生憎な……」
と薦僧は、落胆したように呟いて、
「今日中には、お帰りじゃろうか」
と、訊ねた。
日吉は、それだけの会話のうちに、この薦僧の様子に不審を見出し、急に、口数を控えてしまった。