Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 180.256 Zeichen · 361 Bildschirme
二人は、携えている弁当を解いて、喰べ始めた。銀杏の葉が舞っている。真っ黄色な梢を仰ぐと、木立の彼方に、秋の名残を燃え旺っている紅葉の稲葉山と、絶頂の城廓とが、くっきりと碧空に聳えて、斎藤一門の覇権を誇っていた。
「目的は、あれよ」
彦十は飯粒のついている箸の先で、稲葉山の城を指した。
「はあ……?」
日吉は、口を開いて、わざと、ぽかんとした顔をしながら、箸の先に眼をやる。
彦十が見る稲葉山の城と、日吉の眼に映じたそれとは、一つ対象ではあるが、心は大きな相違をもって、しばらく眺め合っていた。
「――じゃあ、あの城でも、蜂須賀党で乗ッ取ってしまおうという算段ですか」
日吉がいうと、
「ばかアいえ」
と、彦十は、彼の馬鹿馬鹿しい質問に、箸を折って、竹の皮と共に地へ抛ちながら、舌打ちした。
「あの城には、斎藤道三殿の子、新九郎義龍がいて、この要害の地に、四隣を抑え、京都と関東の通路を扼して、内には兵を練り、新しい武器を蓄えて、織田も今川も北条も、所詮、歯が立つものじゃあない。まして蜂須賀党などが、どうなるものか。――馬鹿も休み休みいえ。せっかく、話してやろうと思うことも、張合いぬけして、嫌になるから」