Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 180.256 Zeichen · 361 Bildschirme

Aozora Bunko

「はははは。鷺でも烏でもなくて猿だったか」

「口達者な猿で、物を質すと、あべこべに、おぬしは何者だなどと大言を吐きますから――当地の御被官、松下嘉兵衛様でいらせられると、申し聞かせましたところ、ふーむと、怖れ気もなく腰を伸し、此方を無遠慮に見ておりました」

「そして、畦に屈んで、何を一体しておったのか」

「それも、質しましたところ、馬込の木賃に泊るので、晩の飯の菜に、田螺を採っているのだ――という返辞にござりました」

馬上のまま、能八の復命を聞いている間に、松下嘉兵衛が、ふと眼を移すと、その針売りの後ろ姿は、田の畦から街道へ上がって、もう先の方へ歩いて行く。

嘉兵衛は、それに眼を止めながら、また、能八へいった。

「では何も、不審なかどはない者だの」

「べつに、怪しい節も見うけられませぬ」

「そうか」

と、手綱を持ち直し、

「下賤の者らに、些細な無礼咎めなどはなるべくするな。さ、参ろう」

と、他の郎党へも、鞍の上から顋をすくう。

駒の脚は、やや早目――

またたく間に先へ歩いている日吉に近づき、彼の側を、埃をたてて駈け抜けた。

(猿に似た小男)

と、さっき能八郎から聞いていたので、松下嘉兵衛は、何げなく振り向いた。