Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 180.256 Zeichen · 361 Bildschirme
端麗な人だった。その若い武者は、顔を紅潮させ、大介の突いて来た槍を片手につかみ、片手を朱太刀にかけて、きかない眉を示した。が、一瞬、大介の力に引かれて、真逆さまに落馬し、姿はざんぶと河水につつまれた。
――日吉は思わず、
「あ……あのお方だ。信長公だ」
と、独り呶鳴った。
ひどい、思いきったことをする家来もあるもの。
信長は乱暴な殿と世間ではよくいうが、乱暴なのは、信長よりは、その近臣のことではないのか。
日吉は、そう思った。
――が、遠方で見たことである。果たして落馬したのが、その信長だったかどうか。
日吉はなお、われを忘れて、伸び上がっていた。渡河戦の猛演習は、まだその河の真ん中で、双方とも押し合っていた。主君の信長が落馬したのなら、他の臣下が騒いで救い上げそうなものだが、戦っている者は戦のほか、わき目もふらないのである。
そのうちに。
戦場となっている辺より少し下流の向う岸へ、ざぶざぶ、這い上がった者がある。
見ると、落馬した若武者であった。――やはり信長らしい人だった。
「退くかッ。馬鹿ッ」
濡鼠のからだを、そこに突っ立たせるとすぐ、地だんだして、叫んでいた。