Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 180.256 Zeichen · 361 Bildschirme

Aozora Bunko

これも前からのしきたりであった。

「今日は、お奉行様始め、御大儀さまにござりました」

「さだめし、お疲れのことで」

「何の設けもございませぬが、こよいは悠々と、おくつろぎの程を」

「そして、この後とも宜しくひとつ」

こもごもに挨拶やら追従やら、下へも措かない歓待である。

勿論、酌人も揃っている。どこの唄い女か娘か、とにかく身ぎれいに化粧もこらしたのが、奉行の側につききりで、杯を洗う、肴をすすめる。洟といえばすぐ洟紙。

「よい酒じゃ」

藤吉郎は、悦に入っている。悪い気もちであろう筈はない。

脂粉のにおいを見廻して、

「美人だな。どれもこれも」

と、いった。

商人のひとりが、

「お奉行様にもやはり、女子はおすきでござりまするか」

畏る畏る戯れると、当り前なことを訊く――といわないばかりに、藤吉郎は真面目くさって、

「女子もすき、酒もすきじゃ。世の中にある物はみなよいな。ただ心せぬと、よいものも仇になる」

「仇にならぬ程に、どうぞお気に召しましたら、酒なと、花なと」

「よしよし。気随気ままにさせて貰おう。――ところで、その方ども、商売のはなしは一向にせんが、察するところ、遠慮しておるとみえる。