Japanische Klassiker mit Furigana
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きゅうぶんにほんばし
旧聞日本橋
長谷川 時雨
Lesen Sie 旧聞日本橋 (きゅうぶんにほんばし) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.045 Zeichen · 322 Bildschirme
気がつくと遥か向うでコツコツ何かやっている。さながら、人跡未踏の山奥が、生れながらの住家のようで、七十を越した人などとはとても思われない。山の案内人などの話でも老爺さんが一足踏み入れて、あるといった山に硫黄のなかったためしがなく、歩いていると、ふと向うの山の格好を見て言いあてる。土地の者たちも神様のように言っているというのだった。
「だが、宿は温泉だといっておいて赤湯だの、ぬる湯だのと、変な板かこいの小屋へ連れていって、魚の御馳走だといって、どじょうを生のまま味噌汁の椀へ入れられたには――」
とすっかり閉口していた。でも、どうやらこうやら父から出資させる事になって老爺さんは欣々と勇んだ。情にもろくって、金に無頓着な父は、細かい計算をよく噛まなかった。損徳よりもただ幾分の出資を捨る気でしたのだったろう。
老爺さんが得意になると、今まで冷笑していた親類のものが手伝い志願を申出た。自分たちも損をしただけ取りかえそうという、御直参旗本の当主や子や孫である。
梅干幾樽、沢庵幾樽、寝具類幾行李――種々な荷物が送られた。御直参氏たちは三河島の菜漬がなければ困るという連中であるから、行くとすぐに一人ずつ一人ずつ落伍して帰って来てしまった。