Japanische Klassiker mit Furigana
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きゅうぶんにほんばし
旧聞日本橋
長谷川 時雨
Lesen Sie 旧聞日本橋 (きゅうぶんにほんばし) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.045 Zeichen · 322 Bildschirme
「ねえおまっちゃん、弁慶蟹ね、なにを食べてるだろう。」
おまっちゃんもちょっと不安な顔をする。つくばいの吸込みの小さな穴へもぐってしまった弁慶蟹の子が、年々大きくなって、片っぽの鋏だけがやっと穴から出せる位に、吸込みの穴の中で成長してしまった。右の手をだして、穴のまわりの青苔をはさんで食べていたが、もう手のとどくところには苔がなくなっていたのだ。根の赤い、ギザギザのある奇麗な、そして不具な片手が穴の中から差出されると、小さい時分にはよく抓み出してやった大人たちは、意固地に逃込むのを憎がって、この頃は手をだすのを見つけるたんびにざまあみやがれと言って笑った。子供はその大人を憎んだ。誰もがいないと、おまんまつぶを持っていってやった。好きな沢庵もやった。沢庵を裂いてやるとよく知っていてはさんだ。此方からは見えなくっても、穴の中からは見えるのかも知れない、小さな眼が覗いていたのでもあろう。
私たちは小さな亀の子をほしがった事がある。壱銭銅貨位のや天保銭位の大きさのを買ってもらって悦んだが、飼に蚯蚓をやるので嫌いになった。私は蛇より蚯蚓が厭だ。蛇は下町にはいないから話以上伝説化した恐怖をもちはするが、見たことがないから蚯蚓の方が気味がわるかった。