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Japanische Klassiker mit Furigana

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しゅんちゅう 

春昼・春昼後刻

泉 鏡花

Lesen Sie 春昼・春昼後刻 (しゅんちゅう) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 51.079 Zeichen · 102 Bildschirme

Aozora Bunko

それから更に水に入った。些と出過たと思うほど、分けられた波の脚は、二線長く広く尾を引いて、小獅子の姿は伊豆の岬に、ちょと小さな点になった。

浜にいるのが胡坐かいたと思うと、テン、テン、テンテンツツテンテンテン波に丁と打込む太鼓、油のような海面へ、綾を流して、響くと同時に、水の中に立ったのが、一曲、頭を倒に。

これに眩めいたものであろう、呀忌わし、よみじの(ことづけ)を籠めたる獅子を、と見る内に、幼児は見えなくなった。

まだ浮ばぬ。

太鼓が止んで、浜なるは棒立ちになった。

砂山を慌しく一文字に駈けて、こなたが近いた時、どうしたのか、脱ぎ捨てた袴、着物、脚絆、海草の乾びた状の、あらゆる記念と一緒に、太鼓も泥草鞋も一まとめに引かかえて、大きな渠は、砂煙を上げて町の方へ一散に遁げたのである。

浪はのたりと打つ。

ハヤ二、三人駈けて来たが、いずれも高声の大笑い、

「馬鹿な奴だ。」

「馬鹿野郎。」

ポクポクと来た巡査に、散策子が、縋りつくようにして、一言いうと、

「角兵衛が、ははは、そうじゃそうで。」

死骸はその日終日見当らなかったが、翌日しらしらあけの引潮に、去年の夏、庵室の客が溺れたとおなじ鳴鶴ヶ岬の岩に上った時は二人であった。