Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅんちゅう
春昼・春昼後刻
泉 鏡花
Lesen Sie 春昼・春昼後刻 (しゅんちゅう) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 51.079 Zeichen · 102 Bildschirme
二十六
「それ見えるでがさ。の、彼処さ土手の上にござらっしゃる。」
錦の帯を解いた様な、媚めかしい草の上、雨のあとの薄霞、山の裾に靉靆く中に一張の紫大きさ月輪の如く、はた菫の花束に似たるあり。紫羅傘と書いていちはちの花、字の通りだと、それ美人の持物。
散策子は一目見て、早く既にその霞の端の、ひたひたと来て膚に絡うのを覚えた。
彼処とこなたと、言い知らぬ、春の景色の繋がる中へ、蕨のような親仁の手、無骨な指で指して、
「彼処さ、それ、傘の陰に憩んでござる。はははは、礼を聞かっせえ、待ってるだに。」
二十六
横に落した紫の傘には、あの紫苑に来る、黄金色の昆虫の翼の如き、煌々した日の光が射込んで、草に輝くばかりに見える。
その蔭から、しなやかな裳が、土手の翠を左右へ残して、線もなしに、よろけ縞のお召縮緬で、嬌態よく仕切ったが、油のようにとろりとした、雨のあとの路との間、あるかなしに、細い褄先が柔かくしっとりと、内端に掻込んだ足袋で留まって、其処から襦袢の友染が、豊かに膝まで捌かれた。雪駄は一ツ土に脱いで、片足はしなやかに、草に曲げているのである。
前を通ろうとして、我にもあらず立淀んだ。