Japanische Klassiker mit Furigana
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ちえのいちたろう
智恵の一太郎
江戸川 乱歩
Lesen Sie 智恵の一太郎 (ちえのいちたろう) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 67.333 Zeichen · 134 Bildschirme
みんながいなくなるのを待って、一太郎君は、一方のポケットから、ハンケチに包んだ細長いものを、だいじそうに取出しました。ハンケチをひらくと、中から、妙子ちゃんの筆入のふたが出てきました。
一太郎君はその筆入のふたの裏がわに、ハーッと息をかけて、拡大鏡でしばらくのぞきこんでから、今度は、前の窓ガラスに、ハーッハーッと、いくども息をふきかけて、六人のお友だちの残して行った指のあとを、一つ一つ見くらべていましたが、やがて、
「あ、これだ、これだ、すっかり同じだ。やっぱりそうなんだ。妙子ちゃんを助けてくれたのは、北村君だったんだ」
とうれしそうにつぶやきました。
皆さん、もうおわかりでしょう。昨日妙子ちゃんがころんだ時、カバンの中から筆入がとび出して、中のクレヨンが地面にちらまかれたのを、ひろい集めてくれましたね。その時の指のあとが、すべすべしたセルロイドの筆入に残っていたのです。
筆入のふたの表と裏には、妙子ちゃんのらしい小さい指のあとが、たくさんついていましたが、それとは別に、すこし大きい指のあとがいくつか残っていたのです。そして、ふたの裏がわに一ばんハッキリ残っていたのは、その生徒がふたをつかんだ時の、親指のあとにちがいないように思われたのです。