Japanische Klassiker mit Furigana
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ちえのいちたろう
智恵の一太郎
江戸川 乱歩
Lesen Sie 智恵の一太郎 (ちえのいちたろう) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 67.333 Zeichen · 134 Bildschirme
「え、そのくらいです」
「まちがいないね。ほんとうに五十銭玉ぐらいに見えるんだね」
「え、まちがいありません」
「ようし、それじゃもう一度びっくりさせてあげるよ。さあ、それを貸してごらん」
高橋さんはそう言って、紙筒を受取ると、目にあてる方はそのままにしておいて、先の方だけを小さくまきこんで、半分ぐらいの太さ、つまり直径一糎半ほどにしました。根もとが太くて先の細い筒ができたわけです。
「これでのぞいてごらん。こんどはまた、月の大きさがちがって見えるはずだよ」
一太郎君は、言われるままに、その筒の太い方を目にあてて、月をのぞきましたが、のぞいたかと思うと、いきなりとんきょうな声を立てました。
「あれっ、へんですね、また月が小さくなっちゃった。五銭玉ぐらいですよ」
「ふしぎだろう。それじゃね、今度は自分で、紙筒の先の方をだんだん細くまきこんでごらん。そして、月がちょうどその穴と同じになるまで、月で穴が一ぱいになるまで、細くしていってごらん」
一太郎君は両手で紙筒を持って、ぎゅうぎゅうとしめつけながら、先の方だけを細くしていきました。すると、奇妙なことに、先の穴が小さくなるにつれて、月の方もだんだん小さくなるような気がするのです。