Japanische Klassiker mit Furigana
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さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
Lesen Sie 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 169.810 Zeichen · 345 Bildschirme
宇治はその時目を見張る程おどろいた。何というのんびりした事を考えているのかと思った。その後宇治の隊から兵が四五名盆地に糧秣求めに行った時ゲリラに襲われ、皆殺されたという事件が起った。そのゲリラを手引きしたのがあの報道班員だという噂をあとで聞いた。その後の事は知らない。戦場の噂ほど不確実なものはないから、宇治もその事について深く聞く事はなかったが、そんな噂が立ったとすればあるいはその後彼は殺されたかも知れない。戦場では個人の生命など問題ではなかった。唯ちょっとした恣意が人の命をうばう事もあり得る。小説を書こうという程の男が、どうして自分を危くするようなことをしたのか。しかしそれは何も不思議ではない。誰と限らず皆、判断の支柱を失っているのだ。現象に呼応する感覚があるだけで、皆その感覚を自分の理性だと信じ込んでいる。
(生きたいという希求から逃亡した俺も、あるいはその類かも知れない)
あの小説家を嗤う訳には行かないのだ。彼は次第に自分が何を考えているのか判らなくなり始めていた。何もかも自分の判断で割切りそして行動していると信じていたのだが、それもあやふやなもののように思われた。