Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Lesen Sie 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.078 Zeichen · 285 Bildschirme
「なにを射ったんだ」
ふじこは七十郎を見返して、お客さんにはわからないだろうが、と断わり、それから、鹿を射ったのだと答えた。
「鹿だって」
「くびじろっていう大鹿です」とふじこが云った。
その鹿は、何年ものあいだ、甲斐が追っていたもので、ようやく吹雪の中で追い詰めた。しかし、いざというときに、甲斐の弓の弦が切れて、甲斐はくびじろの角にかけられた。もう一と突き突かれたら、命はなかったであろう。その刹那に、久兵衛がくびじろを射ったのである。甲斐を覘って跟けて来た久兵衛が、甲斐を射たずに鹿を射った。それで甲斐が怒ったのだ、とふじこは語った。
「命を助けられたのに、原田はどうして怒ったのだ」
「殿さまは御自分でくびじろを仕止めるおつもりだったんです、何年も何年も追っていらしって、追っていながら情愛をもつようになられたんです、くびじろには誰も手を出すなって、よくそう仰しゃってましたし、罠や鉄砲なんかでなく、いつも弓で正面から向かっていらしったんです、だから、久兵衛なんぞの鉄砲で殺されたのが、よっぽど哀れに思われたのでしょう、どうしておれを射たなかった、とたいそう大きな声で怒られたそうですけれど、わたしたちはそれを聞いて、すぐに殿さまのお気持がわかったですよ」