Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 178.724 Zeichen · 355 Bildschirme
、たとえわずかな時間にせよ、道江の問題に夢中になって、朝倉先生のことをまるで忘れてしまっている。何という矛盾だろう。いや、何という軽薄さだろう。
彼は、自信を失った人のように、力なく首をたれた。徹太郎叔父に対しても、道江に対しても、恥ずかしさで胸がいっぱいである。
「何しろ、朝倉先生の退職の理由が理由だし、君たちの行動を当局では極力警戒しているらしいんだ。万一ストライキにでもなったら大変だぜ。」
「ストライキには、僕、絶対に反対するつもりです。」
次郎はやっとそれだけ答えた。ストライキ反対の理由が、当局のためでなくて朝倉先生のためだ、ということをつけ加えたかったが、まだそれを言うだけに気持がおちついていなかったのである。
「それならいいけれど、――」
と、徹太郎はちょっと考えてから、
「しかし、昨日お父さんにきいたんだが、君は血書を書いたっていうじゃないか。」
「ええ。……書きました。」
「それがきっと大きな問題になると思うね。」
「僕はストライキをやらないためにあれを書いたんです。みんなもその条件であれを出すことにきめたんです。」
「しかし、ストライキになってしまったら、君の考えとはまるで反対の目的で書かれたことになりそうだね。