Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 178.724 Zeichen · 355 Bildschirme
九 二つの敵
「――父はいつも愛情をとおして道理を説き、道理の埒内で愛情を表現することを忘れない。しかし、わが子の安全を希うのが現としての情であるかぎり、時として父の説く道理にも、いくらかのゆがみがないとは限らない。もし父の言うように、時代に反抗する一切の努力がむだ玉だとするならば、朝倉先生もまたむだ玉をうたれたことになるのではないか。」
九 二つの敵
次郎は、この一週間ばかり、考えぶかくすごして来た。
血書撤回のことは、すぐその翌日、新賀と梅本とによって校友会の委員会に持ち出されたが、わけなく否決された。ストライキ派が、それを撤回されてはストライキの口実がなくなると思っているところへ、反対派の一人が、「血書をひっこめたら、われわれの朝倉先生に対する気持までひっこめたことになるんだ。」とどなったので、ほとんど問題にならなかったのである。
それでも、新賀と梅本とは、決をとるまで、しきりに次郎のこれからの危険な立場を述べたてて賛成を求めた。これには、ストライキ反対派の中に同感の意を表したものも多少あった。しかし、次郎本人が、
「血書は私情で書いたものではない。それを私情でひっこめることは絶対に不賛成だ。