Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 178.724 Zeichen · 355 Bildschirme
馬田もみんなの手まえ、さすがにきっとなって、
「ふざけるなとは何だ。僕はまじめだぞ。」
「一旦結んだ約束を、どうでもいいなんて、まじめで言えるか。」
「言える。目的にそわない約束は無視した方がいいんだ。」
「そうだ!」
と、廊下の方で二三人が一せいに叫んだ。新賀はその方にちょっと眼をやったが、すぐ、また馬田を見、割合おだやかな調子で、
「君はストライキをやれば、かならず目的が達せられると思うのか。」
「そりゃ、やってみなくちゃわからん。しかし、少くとも机の上で書いた血ぞめの文章なんかよりゃ有効だよ。」
一瞬、新賀の顔が紅潮した。しかし、彼はそのためにひどく興奮したようには見えなかった。彼は相変らず馬田の顔をまともに見つめながら、
「じゃあ、なぜ君は血判までしてストライキをやらないという約束をしたんだ。」
「僕はそんな約束のための血判をしたんじゃない。血ぞめの文章に一応敬意を表しただけなんだ。」
「馬田!」
と、その時、新賀のすぐうしろの方から、べつの声がきこえた。声の主は次郎だった。彼はそう叫んで立ち上ったが、自分のまんまえに新賀の尻がおっかぶさってみんなの顔が見えなかったらしく、机と机との間を泳ぐようにしてまえに出た。