Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.443 Zeichen · 398 Bildschirme
」
「出してわるいことはない。しかし、出さないほうがいいんだ。少なくとも、今朝の話には、出さないほうがよかったんだ。」
次郎はちょっと考えていたが、
「ええ、それはぼくにもわかります。しかし、そのために、大河君がぬれ衣をきなければならないという道理はないでしょう。ぼくとしては、それがたまらないほど心苦しいんです。」
「心苦しければ、君自身で何とか始末したらいいだろう。原因はもともと君にあるんだから。……私は、板木の音そのものを問題にしただけなんだ。」
次郎は、朝倉先生らしくない詭弁だという気がしてさびしかった。かれは語気を強めて言った。
「むろん、ぼくは大河君にあやまるつもりでいます。しかし、大河君としては、ぼくがあやまっただけでは、気がすまないでしょう。」
「そうかね――。」
と、朝倉先生は、まじまじと次郎の顔を見ながら、
「私は、大河をそんなふうに思うのは、むしろ大河に対する侮辱だという気もするんだがね。」
次郎は、いきなりぴしりと胸に笞をあてられたような気がした。かれの眼には、大河の、今朝のしずまりきった静坐の姿がひとりでに浮かんで来た。むろん、先生に返す言葉は見つからなかった。