Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.443 Zeichen · 398 Bildschirme
九 異変(※(ローマ数字1、1-13-21))
かれは浴室に立ちこめた濃い湯気の中にじっと裸身を据え、ながいこと、だれの眼にも見えない孤独の狂乱を演じていたのである。
九 異変(※(ローマ数字1、1-13-21))
恭一からは、それっきり何の音沙汰もなかった。次郎には、日がたつにつれ、それが気になって来た。
自分であんな返事を出しておきながら、それに対して、恭一から押しかえして、また何か言って来るのを期待するのは、おかしなことだし、むろん、返事を書くときに、それを予期していたわけでは毛頭なかった。それにもかかわらず、かれは、三日とたち、四日とたつうちに、朝夕二回配達される郵便物がしだいに待ちどおしくなり、その中にそれが見つからないと、失望もし、何か欺かれたような気にさえなるのだった。
しかし、また一方では、自分がそんな気持ちになるのを、するどく反省もした。そして反省の結果は、いつもたえがたい自己嫌悪と自嘲だったのである。
何という弱さだ。いや、何という見ぐるしさだ。いったい自分は、これまで自分を育てるために何をして来たというのだ。白鳥会以来の苦心と努力とは、いったい何を目あてにしたものだったのだ。