Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.443 Zeichen · 398 Bildschirme
」
「それは、おそらく、君だけじゃないだろう。入塾式の日には、たいていの塾生が田沼先生や朝倉先生の話よりも、平木中佐の元気な話に感激したんだからね。」
「ははは。……しかし平木中佐だって、ふまじめではないだろう。あの人はあの人なりに、本気で日本の青年のことを考えているにちがいないよ。」
「それはそうかもしれない。しかし本気ぶりがちがうよ。自分の考えだけに夢中になって、国民の地についた日常生活のことなんか、まるで忘れてしまっているような本気では困るね。」
「そうだ。そういうことが、ぼく、この塾にはいってから、よくわかって来たような気がする。」
「そういうことのわかった青年が、一村に五六名もいると、心強いんだがね。」
「そうだ。ぼくも、このごろしみじみそういうことを考えているよ。それで、ぼくの村からは、このつぎにもぜひだれか入塾させたいと思って、昨日手紙を出してすすめておいたんだ。」
「すいぶん手まわしがいいね。ぼくもさっそく手紙を書くことにしよう。」
次郎は仕切り戸ごしにそんな話し声をきいていて、泣きたいような喜びを感じた。しかし、その喜びは、かれを一そう憂うつにする原因でしかなかった。