Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.443 Zeichen · 398 Bildschirme
皇軍相討つ危険が、こうした報道を通じて、避けがたいものに感じられて来たのである。ことに二十九日朝のラジオはアナウンサーの切々たる情感をこめた声をとおして、戒厳司令官の兵に対する原隊復帰勧告の言葉をつたえ、いよいよ事態の切迫を思わせた。司令官は、その中で、すでに奉勅命令が下ったことを告げ、それに従わないものは「逆賊」であるということを明言し、「今からでも決しておそくはないから、直ちに抵抗をやめて軍旗の下に復帰するようにせよ。そうしたら、今までの罪は許されるのである。」と諭し、また、「お前たちの父兄は勿論のこと、国民全体もそれを心から祈っている。」と訴えていた。
この放送は、これまでの矛盾にみちたいろいろの報道にはっきりした終止符をうち、一部の塾生の頭にまだいくらか残っていた義軍の観念を一掃するに役だった。しかしそれだけに、それはまた流血の惨事を間近に予想させる原因でもあった。「逆賊」と決定したものをそういつまでも放任するわけには行くまい。もしかれらが直ちに原隊復帰を肯んじないとすると。……そう思うと焦躁感はいやが上につのり、それがめいるような悲哀感にさえなっていくのであった。