Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.443 Zeichen · 398 Bildschirme

Aozora Bunko

かれは、しかし、懸命に自分を落ちつけて先を読んだ。今となっては、手紙を読みやめるのが卑怯なような気がしたのである。

「そのあと、親子二人がどんな汽車旅行をつづけたか、また家に帰りついてから今日までの日々を、私がどんな気持ちですごしたか、それはいっさい次郎さんのご想像にお任せいたします。ただ私がこの数日間に考えましたことの中で、ぜひ次郎さんに知っておいていただきたいことがあります。それは、私のこれまで抱いて来た希望が、全く根のない切り花のようなものであったとしましても、私はその希望を恥じても悔んでもいないということです。むろん、根のないものを根があるように信じこんでいた私の愚かさは、笑われても致し方ありません。しかし、その愚かさの中で育った希望そのものは、私にとっては、もう決して愚かな希望ではないのです。それどころか、それは私の生命の花であり、私の生命のあるかぎりは、たとえ根はなくとも決して枯れることのない花なのです。私はその花を、根のないままに私の胸にさして一生を終わりたいとさえ思っているのです。次郎さんは、それを少女の感傷にすぎないとしてお笑いになるでしょうか。