Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.443 Zeichen · 398 Bildschirme
……」
内容はそれだけでほとんどつきており、あとはいろいろの感情を盛った言葉の羅列にすぎなかった。
次郎は読みおわると、がくりと首をたれた。かれの膝の上には、もう涙がぼろぼろとこぼれていた。
朝倉先生は眼をそらして窓のそとを眺めていたが、
「時勢だよ。」
と、ぽつりと言って、眼をとじた。
しばらくして、次郎が声をふるわせながら、
「先生は、もうあきらめていらっしゃるんですか。」
「あきらめるよりしかたがないだろう。じたばたしても、どうにもならない。」
「田沼先生も、もうご存じなんでしょうか。」
「むろんご存じだ。取り消しの電報のことも電話で申しあげてある。」
「それで何ともおっしゃらないんですか。」
「やはりしかたがないだろうとおっしゃる。」
次郎は、きっと口をむすび、涙のたまった眼で、にらむようにしばらく朝倉先生の顔を見つめていたが、
「ぼく、しかたがあると思うんです。」
「どうするんだね。」
「この中には――」
と、次郎は履歴書の束をひきよせて、
「これまでの修了生や現在の塾生たちにすすめられて志願したものがすいぶんあるんです。そういう志願者たちは、今から手をうてば、どうにかなると思うんです。