Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.443 Zeichen · 398 Bildschirme
」
次郎は小首をかしげた。朝倉先生は、箸をやすめ、夫人に注いでもらった茶を一口のんでから、
「水泳の達人は、自由に水の中を泳ぎまわる。水はその人にとって決して邪魔ではない。それどころか……」
「わかりました。」
次郎はきっぱり答えた。しかし、それがいつもそうした場合に二人に見せる晴れやかな表情はどこにも見られなかった。かれはむしろ苦しそうだった。おこっているのではないかとさえ思われた。
「今日は、次郎さんはどうかなすっているんじゃない?」
朝倉夫人が、不安な気持ちを笑顔につつんでたずねた。次郎がむっつりしていると、今度は朝倉先生が、
「やはり悲壮感かな。それにしても、いつもとはちがいすぎるようだね。そろそろ塾生も集まるころだが、何か気になることがあるんだったら、その前にきいておこうじゃないか。」
次郎はちょっと眼をふせた。が、すぐ思いきったように、
「荒田さんは、このごろどうしていられるんですか。」
かれの心には、むろんこの場合にも道江のことがひっかかっていた。むしろそのほうが荒田老以上に彼をなやましていたともいえるのだった。しかしそれは口に出していえることではなかったのである。