Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.443 Zeichen · 398 Bildschirme
」
といったような意味のことから話しだし、いつもなら、午後の懇談会で話すようなことまで、じっくりと、かんでふくめるように話をすすめていったのであった。
次郎は、きいていてうれしかった。田沼先生も、朝倉先生も、ちゃんと打つべき手は打っていられる。これでは、中佐も打ち込む隙が見つからないだろう。そんなふうにかれは思ったのである。
朝倉先生が壇をおりると、つぎは来賓の祝辞だった。次郎はさすがに胸がどきついた。かれは、昔の武士が一騎打ちの敵にでも呼びかけるような気持ちになり、一度息をのんでから、さけぶようにいった。
「来賓祝辞――陸軍省の平木中佐殿。」
平木中佐は声に応じてすっくと立ちあがった。そしてまずうしろの荒田老の方に向きなおって敬礼した。
荒田老は、しかし、眼がよく見えないせいか、黒眼鏡の方向を一点に釘づけにしたまま、びくとも動かなかった。一瞬、場内の空気が、くすぐられたようにゆらめいた。といっても、だれも声をたてて笑ったわけではなかった。笑うにはあまりにまじめずぎる光景だったし、しかも、その当事者が二人とも、場内での最も重要な人物らしく見えていただけに、微笑をもらすことさえ、さしひかえなければならなかったのである。