Japanische Klassiker mit Furigana
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ぶどうむもん
武道無門
山本 周五郎
Lesen Sie 武道無門 (ぶどうむもん) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.130 Zeichen · 24 Bildschirme
きわめてあたりまえな、平凡な結婚であった。お八重は二十歳で、容姿も才も良人に似合いの温和しい内気な娘だったが、ただ毎もその顔つきに「覚悟はできております」とでも云いたげな表情が据わっていた。静かな、慎ましやかな生活が続いた。口数は寡ないが細かいところまで気のゆき届いた温かい妻の愛情は小弥太の一日一日を新しい充実した悦びに満たして呉れた。――己にもこんな仕合せが恵まれたのか、本当にこの仕合せは己のものだろうか。時にはそう思って不安を感ずるほど、小弥太の生活は幸福なものであった。……こうして五十日ほど経った、四月はじめの或る日、お城から下って来た良人の顔が、常になく蒼白いのに気付いたお八重は、着替えを手伝いながらそっと訊いた。
「どうかあそばしましたか」
「……どうして」小弥太は吃驚したように振返った、「どうかしたように見えるか」
「たいそうお顔色が悪うございますから」
「そうか、蒼いか」小弥太は溜息をついた、それから落着かぬ様子で坐りながら、「実は大変な事が出来た」と低い声で云った、「おまえは知らぬかも知れぬ、去年五百石で新規お召抱えになった、河原勘兵衛という人がいる、……今日お城でその人と間違いを仕出来してしまった」