Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぶどうむもん

武道無門

山本 周五郎

Lesen Sie 武道無門 (ぶどうむもん) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.130 Zeichen · 24 Bildschirme

Aozora Bunko

二

「お約束の刻限は何どきでございますか」

「午前七時ということになっている」

妻がどんなに愕くだろう、どんなに悲しむだろう、それを怖れていた小弥太は、お八重が毎もの通り落着いているのを見て、ほっとするより先に、なんだか申し訳のないような気持にさえなった。

「よく分りました」お八重は澄んだ眼で良人を見上げながら云った、「後の事はわたくしが過ちのないように致します、どうぞ今宵は、ゆっくりお躯をおやすめあそばして、明日は御存分にお働き下さいませ」

二

夕食には酒がついた。日頃たしなまないのと、少し量を過したのとで、小弥太は自分でも意外なほど熟睡した。……それはお八重の心遣いであった。彼女は良人が眠ってから、夜半の井戸端で一刻あまりも水垢離をとったのである。むろん小弥太はどっちにも気付かなかった。そして、そんな場合にもかかわらず、ぐっすり熟睡できたことが、なんだか幸運の前兆ででもあるように思われ、元気に起きて水を浴びに出た。

約束の刻限きっかりに、小弥太は松応寺ヶ原へ行った。……それと殆んど同じくらいに、河原勘兵衛もやって来た。勘兵衛は三十七八になる、骨太のいかつい躯つきで、肉瘤の盛り上った肩と眼の上へ蔽いかぶさるような濃い眉と、そして厚い大きなへの字なりの唇とが、ひどく圧倒的である。