Japanische Klassiker mit Furigana
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ぶどうむもん
武道無門
山本 周五郎
Lesen Sie 武道無門 (ぶどうむもん) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.130 Zeichen · 24 Bildschirme
「ほう、来たか臆病者」彼は特徴のあるがらがら声で、大股に近寄りながら喚きたてた、「よう来まいと思ったが、さすがに武士の端くれだな、あっぱれな奴だ、それだけでも褒めてやるぞ」
「直ぐに始めますか」
小弥太は胴震いのでるのを懸命に堪えながら云った、勘兵衛は白い歯を出した。
「むろん直ぐやるさ、なにも待つことはあるまいが」
「それでは、支度を致します」
「ああ宜しい支度をしろ、待っていてやるから充分に支度をするが宜い」そう云うと、如何にも相手を無視した態度で、空など見上げながら呟いた、「よく晴れたな、うん、実によく晴れた、うっとりするような日和だぞ」
全くよく晴れた朝だった。南のかたには城下街の屋根の波と、岡崎城の櫓や、高い天守閣が鮮やかに浮いて見える。……その草原は、松応寺の森から北へ、なだらかな丘や、窪地を越えて、遠く一方は神明の山、一方は観音寺の丘まで、遮る物もなく広々とうちひらけている。ちょうど若草の伸びる時分で、見渡すかぎり生茂った雑草が、朝の陽ざしに温められて生々とあまく匂っていた。
「お待たせ致しました、いざ……」
ようやく支度を終った小弥太は、丁寧に会釈をして、七八尺さがりながら大剣を抜いた。