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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぬまふじん

沼夫人

泉 鏡花

Lesen Sie 沼夫人 (ぬまふじん) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.541 Zeichen · 78 Bildschirme

Aozora Bunko

水なら踵まで浴ろう深さ、そうして小刻に疾くなったが、水田へ蹈込んで渡るのを畔から聞く位の響き。

と卓子の上で、ざざっと鳴出す。窓から、どんどと流込む。――さてもさても夥多しい水らしいが、滝の勢もなく、瀬の力があるでもない。落ちても逆捲かず、走っても迸らぬ。たとえば用水が畔へ開き、田が一面の湖となる、雨上りの広田圃を見るような、鮒と鰌の洪水めいたが、そのじめじめとして、陰気な、湿っぽい、ぬるぬるした、不気味さは、大河の出水の凄いに増る。

そんな水がどこへ出た、と言われたら、この部屋一面、と答えようと思いながら、小松原は但し身動きも出来ないのである。

やがて短夜が……嬉しや、もう明けそうに、窓から白濁りの色が注して、どんよりと光って、卓子の上へ飜った、と見ると、跫音が、激しくなって、ばたばたばた、とそこいらを駈けたが、風か、水か、ざっと鳴る時、婦の悲鳴が、

「あッ」

と云う……

「奥さん。」

と刎起きる、と、起きた正面に、白い姿が、髴とある!

「ああ、夢か。」

と気が着いたが、まざまざ垂れたその切が、ふっくりした乳にも見えるし、すっとした手にも見える。その辺が、と思うと、円い肩になり、なぞえに白く胸になって、くびって腰になって、すらりと裾のようになる。