Japanische Klassiker mit Furigana
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ぬまふじん
沼夫人
泉 鏡花
Lesen Sie 沼夫人 (ぬまふじん) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.541 Zeichen · 78 Bildschirme
二十三
これが、例の戸棚掛の白布を、直ぐに使って一包み、昨夜の一刀を上に載せて、も一つ白布で本包みにしたのを、薄々沙汰は知っていながら、信心堅固で、怯気ともしないで、一件を小脇に抱える。
この腰の物は、魔除けに、と云う細君の心添で。細君は、白骨も戻すと極り、夜が明けると、ぱっと朝露に開いた風情に元気になって、洗面の世話をしながら、縁側で、向うの峰を見て顔を洗う小松原に、
「昨晩はお楽み……なぜって。まあ、憎らしい。奥さんが逢いにいらっしゃったではありませんか。」
など遣ったものだが、あえてこれは冷評したのではない。その証拠には、小松原と一足違に内を出て、女子扇と御経料を帯に挟んで、じりじりと蝉の鳴く路を、某寺へ。供養のため――
二十三
「沼さ行ぐ道はこれを入るだよ。」
と正吉が言う処を、立直って見れば、村の故道を横へ切れる細い路。次第高の棚田に架って、峰からなぞえに此方へ低い。田の青さと、茂った樹立の間を透いて、六月の空は藍よりも蒼く、日は海の方へ廻って、背後から赫と当るが、ここからは早や冷い水へ入るよう。
三方、山の尾が迫った、一方は大なる楓の梢へ、青田の波が越すばかり。