Japanische Klassiker mit Furigana
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ぬまふじん
沼夫人
泉 鏡花
Lesen Sie 沼夫人 (ぬまふじん) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.541 Zeichen · 78 Bildschirme
七
あの、雪に、糸一条も懸らぬか、と疑えば、非ず、ひたひたと身に着いた霞のような衣をぞ絡う。
と見ると、乳の辺、胸へ掛けて、無慚や、颯と赤くなって、垂々と血に染まった。
七
枕に響いた点滴の音も、今さらこの胸からか、と悚然とするまで、その血が、ほたほたと落ちて、汐が引くばかりに、見る間に、びしゃびしゃと肉が萎む、と手と足に蒼味が注して、腰、肩、胸の隅々に、まだその白い膚が消々に、薄らと雪を被いで残りながら、細々と枝を組んで、肋骨が透いて見えた。
「ああ、これだな。」
と合点が行く。
途端に、がたがたと戸棚が鳴った。
自分で正気づいたと、心が確になった時だけ、現の婦の跫音より、このがたがたにもう堪らず、やにわに寝台からずるずると落ちた。
小松原は暗がりを手探りながら、鋭くなった神経に、先刻から電燈で照らしたほど、室内の見当はよく着けていたので、猶予いもせず、ズシンと身体ごと扉の引手に持って行くと、もとより錠を下ろしたのではない。
ドンと開く。
扉に身体が附着いて、発奮んで出たが、跨いだ足が、そう苦なしには大穴から離りょうとはせぬので、地獄から娑婆へ踏掛けた体で、独でいて、どたんばたん、扉の面と、や、組んだりける。