Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ぬまふじん
沼夫人
泉 鏡花
Lesen Sie 沼夫人 (ぬまふじん) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.541 Zeichen · 78 Bildschirme
九
しそうな、泥水の中へ引摺込まれそうな気がしたんで、骨まで浸透るほど慄然々々するんだ。」
と肩を細うして、背で呼吸をする。
「男らしくもない、そんな事を言って梅雨期はどうします、まさか蓑笠を着て坐ってやしまい。」
「うむ、何、それがただのじとじとなら可いけれど、今云う泥水の一件だ、轟と来た洪水か何かで、一思に流されるならまだしもです――灯の消えた、あの診察処のような真暗な夜、降るともつかず、降らないでもない、糠雨の中に、ぐしゃりと水のついた畔道に打坐って、足の裏を水田のじょろじょろ流に擽ぐられて、裙からじめじめ濡通って、それで動くことも出来ないような思いを一度して見たまえ。」
と力強く云って、また小松原は溜息で居る。
九
医師は徐に、煙草盆を引寄せて、
「それ、そこが苦労性だと言うのです。窓を開けたまんまで寝たから、夜風が入って湿っぽかったらただ湿っぽかったで可かろう。何も真暗な夜、田圃の中に、ぐしゃりと坐って、足の裏を擽られて、腰から冷通るとまで、こじつけずともの事だ。その気でお膳に向った日にゃ、お汁の湯気が濛々と立騰ると、これが毒のある霧になる、そこで咽死に死にかねませんな。