Japanische Klassiker mit Furigana
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ぬまふじん
沼夫人
泉 鏡花
Lesen Sie 沼夫人 (ぬまふじん) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.541 Zeichen · 78 Bildschirme
十一
その内、湯に入ると、薄りと湯槽の縁へ西日がさす。覗くと、空の真白な底に、高くから蒼空が団扇をどけたような顔を見せて、からりと晴れそうに思うと、囲の外を、
(水が出たぞ。)
(田圃一面。)
と饒舌って通った。
これを聞くと、何か面白い興行でもはじまったような気がして、勇んで、そわそわして、早く行って見たくって、碌に手拭も絞らないで、ふらんねるを引かけたなり、帽子も被らずに、下駄を突掛けて出たんだがね。」――
十一
「汎水だ、と云ったって、この通り、川らしい川のない処だから、駈出して見物に行くほどの事もなさそうなもんだけれど、私は何だ。……
董、茅花の時分から、苗代、青田、豆の花、蜻蛉、蛍、何でも田圃が好で、殊に二百十日前後は、稲穂の波に、案山子の船頭。芋※の靡く様子から、枝豆の実る処、ちと稗蒔染みた考えで、深山大沢でない処は卑怯だけれど、鯨より小鮒です、白鷺、鶉、鷭、鶺鴒、皆な我々と知己のようで、閑古鳥よりは可懐い。
山、海、湖などがもし天然の庭だったら、田圃はその小座敷だろう。が、何しろ好きでね、……そのせいか、私には妙な事がある。
いつ頃からかはよく分らんが、床に入って、可心持に、すっと足を伸す、背が浮いて、他愛なくこう、その華胥の国とか云う、そこへだ――引入れられそうになると、何の樹か知らないが、萌黄色の