Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぬまふじん

沼夫人

泉 鏡花

Lesen Sie 沼夫人 (ぬまふじん) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.541 Zeichen · 78 Bildschirme

Aozora Bunko

二十一

」

と弄かうごとく、団扇を膝でくるりと遣る。

「いいえ、ですがね、あの御骨……」

「ちょっと待て、御骨は気になる。はははは。」

「御免なさいましよ。」

と客に云って、細君は、小児に添乳の胸白く、掻巻長う、半ば起きて、

「串戯ではなくってよ。貴郎が持って来て、あそこへ据えてから、玄関の方なんぞも、この間中種々な事を言ってるんですよ。

話声がするの、跫音が聞えるのって――大方女中なんかを徒に威すんだろうと思って、気にもしないでいましたけれども、今のお話の様子だと、何だか、どうとも言えませんわ。」

二十一

「ねえ、小松原さん、」

とぼかしたような顔が、蚊帳の中で朧に動いて、

「あの御骨だって、水に縁があるんですもの。」

「婦女子の言です。」

と医師は横を向く。小松原は、片手を敷布の上、隣室へ摺寄る身構えで、

「水に縁と……仰有ると?」

「あれは貴下、何ですわ、つい近い頃、夫が拾って来て、あすこへ飾ったんですがね。その何ですよ、旧あった処は沼なんですって。」

「沼!」

「おっと直ぐに、そう目の色を変えるから困る。鯰に網を打ちはしまいし、誰が沼の中から、掬上げるもんか。」

「だって、そりゃ沼からじゃありますまいけれど、梅雨あけに水が殖えたので、底から流出したんだろうッて、貴郎がそう言っていらしったではありませんか。