Japanische Klassiker mit Furigana
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かせいのまじゅつし
火星の魔術師
蘭 郁二郎
Lesen Sie 火星の魔術師 (かせいのまじゅつし) von 蘭 郁二郎 (らんいくじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 151.120 Zeichen · 302 Bildschirme
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そんなことを、ぼんやりと考えていると、
「どうもお待ち遠……」
といいながら、水木が、この部屋の向側にあったドアーを開け、手にはまだ水のたれている乾版をもって出て来た。
「この間は失敬、随分待たしちゃったね、写真はやりかかると、手がはなせないんでね――何をぽかんとしてんだい」
「うん、いや、何でもないさ――」洵吉は、笑ってみようとしたが、どうも頬がこわばっているのに気がついた。だが、水木はそんなことには気がつかなかったようで、手に持った乾版を覗いてみると、寺田の眼の前につき出しながら、
「どうだい、素晴らしいだろう――これがあの浅草の小川鳥子なんだぜ。やっと承知させて裸のやつを今日撮って来たんだ」
「小川……」
「小川鳥子といえば、今売出しの踊子じゃないか……」
洵吉も、ちょっと興味をひかれたので、差出された乾版を覗いてみたが、余り乾版というものを見馴れない彼にはただ乳白色のバックの中に、真黒で眼のはたや、口のまわりばかりの白い、黒人のような少女が、全裸のまま無作法な姿をしているだけのものであった。
「君、この鳥子が、珍らしいさめ肌なんだぜ、すごいぞ……」