Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かせいのまじゅつし

火星の魔術師

蘭 郁二郎

Lesen Sie 火星の魔術師 (かせいのまじゅつし) von 蘭 郁二郎 (らんいくじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 151.120 Zeichen · 302 Bildschirme

Aozora Bunko

十ノ二

――後に好奇心に瞳を輝かせながら、葉子が尾いて来るのも知らずに――。

「まあ、どしたの、きょうは……」

やっと、匍うようにして二階への階段を上り切ろうとした時、いきなり頭の上から、そう声をかけられて、ギクンとした。

「なんだ由公か……」

「あら、すごい元気ね」

「そうさ」

黒吉は、片足を投出すと、

「由っちゃん、きょうはね、葉ちゃんに逢ったんだよ……」

「え、葉ちゃんに!」

「うん、葉ちゃん、葉子だよ、俺と仲よしの――」

「まあ、そうお、どこで……」

由子は、気のせいか、いやあな顔をして俯向いた。

「あのね、裏門のとこに、千鳥っていう『呑屋』があるだろ、あそこだよ」

「ああ、あそこなの、どおりで。店に来るお客さんがそういってたわ、近頃あそこにとても綺麗なのが来たんだぜ――って、お蔭様で研究所の人たちは、みんなあっちへ行っちゃうのよ。きっと、葉ちゃんを張りに行くのね……」

「ふーん」

変って黒吉が、いやあな顔をして、黙ってしまった。

「ねえ、黒ちゃん、葉ちゃんと、あたしと、どっちが好きなの――」

「うん」

「ね、ねえ、どお……」

「俺は、俺は……葉ちゃんも……」

「ええ、どうせそうでしょ、あたしなんか、……」