Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かせいのまじゅつし

火星の魔術師

蘭 郁二郎

Lesen Sie 火星の魔術師 (かせいのまじゅつし) von 蘭 郁二郎 (らんいくじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 151.120 Zeichen · 302 Bildschirme

Aozora Bunko

睡魔

一

「おやっ? 彼奴」

村田が、ひょっと挙げた眼に、奥のボックスで相当御機嫌らしい男の横顔が、どろんと澱んだタバコの煙りの向うに映った――、と同時に

(彼奴はたしか……)

と、思い出したのである。

「君、あの一番奥のボックスの男にね、喜村さんじゃありませんか、って聞いて来てくれないか、――もしそうだったらここに村田がいるっていってね」

「あら、ご存じなの……」

「うん、たしか喜村に違いないと思うんだが……」

「じゃ聞いて来たげるわ」

ハルミが、べっとりと唇紅のついた吸いかけの光を置いて、立って行った。

と、すぐに、聞きに行ったハルミよりも先きに、相当廻っているらしい足を踏みしめながら、近づいて来たのは、矢ッ張り中学時代の級友喜村謙助に違いなかった。

「おう、村田か、しばらくだったな」

そういって、つるんと鼻のしたを撫ぜた為種まで、思い出すまでもなくその頃からの喜村の癖だった。

「どうだい、その後は……」

村田が、まあ掛けろ、というように椅子を指して

「それはそうと、珍らしいところで逢ったもんじゃないか……、たしか高等学校の二年で忽然と姿を消しちまったって噂だが、――誰かがそういってたぜ」