Japanische Klassiker mit Furigana
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かせいのまじゅつし
火星の魔術師
蘭 郁二郎
Lesen Sie 火星の魔術師 (かせいのまじゅつし) von 蘭 郁二郎 (らんいくじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 151.120 Zeichen · 302 Bildschirme
しかしそれの予防法は出来た。……が、第一回のロケットの出発の際に十分の一秒、つまり計算上,の打ちどころを一桁だけ間違ったために、いざそのロケットが月に到着する時になって七千五百二十六万四千米ばかりも喰い違いが出来た。えらいことさ。第一回のロケットはそうした訳で、月の通ってしまったあとの、空ッぽのところに飛んで行ったんだ……」
「……そして、どうなったんです」
「……そして、肝腎の月に行きあたらなかったから、そのロケット日章島第一号は、今も果てしもない大宇宙を飛んでいるよ。闇黒の零下二百七十度の中を――。無論もう酸素も食糧も尽きただろうから十五人の地球人の死骸を乗せた棺桶となったロケットが飛びつづけている。真空の宇宙だから止まることはない。無限に運動をつづけているわけだ……つまり、一つの星となってしまったのさ」
流石に、細川三之助も暗然として、ドアーを閉ざした。そして
「なアに、こんどは成功するさ。もうすぐ月世界に、第一回の日章旗をたてて見せる。こんどは先刻一寸いった整形外科へ案内しよう……」
七
その部屋の番号は第六六五号だった。
「さあ、中へ入って……」