Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かせいのまじゅつし

火星の魔術師

蘭 郁二郎

Lesen Sie 火星の魔術師 (かせいのまじゅつし) von 蘭 郁二郎 (らんいくじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 151.120 Zeichen · 302 Bildschirme

Aozora Bunko

六ノ四

「ウソ……」

「嘘じゃないわよ、ちゃんと知ってるわ、あたし見たの。葉ちゃんたら変な人ね、あたし、すっかり同情しちゃったわ、あんたに」

「こいつ奴……」

(大人みたいなこと、いうない!)

と、いってやろうとしたが、彼には、もう口が听けなかった。

黒吉は、こうした哀しい時には、何時までも、独りでいたかった。独りでならば、一生懸命、怺えられる泪も、優しい慰めの言葉をかけられると、却って、熱湯となって、胸の中を奔流するのだ。

「いいよ、由ちゃん。あり難う。なんでもないんだよ」

「そお、じゃいいけど……」

そういいながらも、由子は、何か奥歯に挟ったものを吐出したげに、佇立していた。

薗道由子は葉子と親しくはしていたが、彼女ほど美貌でもなく、又、芸の方も、目立って上手いというほどではないので、葉子のみを考えていた黒吉とは、自然、没交渉だったのだが、葉子というものを、改めて見直さなければならなくなった今、由子の登場は、黒吉の心に、何等かの波瀾を起すのではないか、と思われた。

六ノ四

「黒ちゃん」

「うん」

「あのね、あんたね、悪いことはいわないわ、葉ちゃんなんか、忘れた方がいいわよ……」