Japanische Klassiker mit Furigana
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ばんちょうさらやしき
番町皿屋敷
岡本 綺堂
Lesen Sie 番町皿屋敷 (ばんちょうさらやしき) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.494 Zeichen · 67 Bildschirme
その母が今更に武家奉公を不安らしくいうのは辻褄が少し合わないようにも聞えるのであった。
勿論、母としては相当の理窟もあった。武家も武家によるので、喧嘩を商売にしているような主人に長く仕えているのは不安心だというのである。しかし彼女は顔を赤め合ってまでも、可愛い娘といがみ合おうとは思っていなかったので、娘に笑われてもおとなしく黙っていた。
そこへお仙が茶を汲んで来た。あとから用人の十太夫も出て来た。
「おお、お菊の母か。よう参ったの。まあ、茶でもまいれ」と、十太夫はにこにこしていた。
「何をいうにも男ばかりの屋敷内で、いや乱脈だ。女子共も定めて忙がしかろうが、お菊も精出して立働いてくるる。殊に殿様お気に入りで、お手廻りの御用はすべてお菊が勤めてくるるので手前共も大助かりだ。殿様は随分癇癖のはげしい方だが、お菊のすることは万事御機嫌がよい。ははははは」
お菊は耳たぶを紅くして俯向いてしまった。それには眼もくれないで、十太夫はふところから白紙に包んだ金を出した。
「お菊の母がまいったことを殿様にお耳に入れたら、これは少しだが土産に取らせろとあって、小判二枚を下された。