Japanische Klassiker mit Furigana
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ばんちょうさらやしき
番町皿屋敷
岡本 綺堂
Lesen Sie 番町皿屋敷 (ばんちょうさらやしき) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.494 Zeichen · 67 Bildschirme
それには眼もくれないように、侍と奴どもは悠々と茶をのんでいた。明暦初年三月半ばで、もう八つ(午後二時)過ぎの春の日は茶店の浅いひさしを滑って、桜の影を彼等の足もとに黒く落していた。
「おい、姐や。こっちへももう一杯くれ」と、唐犬びたいが声をかけた。茶の所望である。茶店の娘はすぐに茶を汲んで持ってゆくと、彼はその茶碗を口もとまで押し付けて、わざとらしく鼻を皺めた。
「や、こりゃ熱いわ。天狗道へでも堕ちたかして、飲もうとする茶が火になった。こりゃ堪らねえぞ」
彼はさも堪らぬというように喚き立てて、その茶碗の茶を侍の足下へざぶりと打ちまけた。それが如何にもわざとらしく見えたので、相手の侍よりも家来の奴どもが一度に突っ立った。
「やあ、こいつ無礼な奴。何で我等の前に茶をぶちまけた」
「こう見たところが疎匆でない。おのれ等、喧嘩を売ろうとするか」
相手も全くその積りであったらしい。鬼のような奴どもに叱り付けられても、二人ながらびくともしなかった。彼等はせせら笑いながら空うそぶいた。
「売ろうが売るめえがこっちの勝手だ。買いたくなけりゃあ買わねえまでだ」
「一文奴の出しゃばる幕じゃあねえ。