Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ばんちょうさらやしき
番町皿屋敷
岡本 綺堂
Lesen Sie 番町皿屋敷 (ばんちょうさらやしき) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.494 Zeichen · 67 Bildschirme
五
「おお。知っているか」と、播磨は事もなげにいった。「いかに苦手の伯母御でも、こればかりは無理圧しつけもなるまいぞ。それでそちは泣いていたのか。はは、馬鹿な」
播磨は陰らない声で高く笑った。あまり手軽く打消されてしまったので、お菊も少し張合い抜けがしたように、泣き腫らした眼をしばたたきながら相手をそっと見あげると、酔いのだんだんに醒めかかって来た男の顔は輝くように光って見えた。
「播磨を疑うな」
主人は腰元の手を取った。
五
それから又十日ほど経って、播磨は渋川の屋敷へ呼ばれた。それは縁談の返事の催促に相違ないとお菊は思った。彼女は小石川から帰った主人の顔色によってその模様を判断しようとあせったが、年の若い、しかも恋にくらんでいる彼女の陰った眼では、とても自分の男の顔から秘密を探り出すことは出来なかった。さりとて、妬みがましい下司女と見積られるのも悲しいので、彼女は主人にむかって打付けにしつこく詮議する訳にも行かなかった。
播磨を疑うな――この一句を杖と縋って、お菊は悶えながらに日を送っているうちに、庭の桜もあらしに傷みつくして、ゆく春は青葉のかげに隠れてしまった。